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Toward ICT4D

青年海外協力隊 平成28年度2次隊 PNG コンピュータ技術職のなんたらかんたら

青年海外協力隊の活動における実績の必要性について

C. 派遣前活動記 C4. 青年海外協力隊受験記 B. 任国活動記

青年海外協力隊

ご存知の通り、
日本国政府が実施するボランティア活動。

 

ほとんどの隊員が、受験時、合格後、訓練所入所時、派遣時に

「派遣国でなにができるのだろう?」
「こんな実績を残してきたい」

ということを考えると思います。

 

でも、そもそも青年海外協力隊の活動に実績って必要なの?

 

 

青年海外協力隊ってそもそもなに?

 

青年海外協力隊とは

1. 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
2. 友好親善・相互理解の深化
3. 国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元

を目的として行っている海外ボランティア派遣制度。
ようは日本国政府が実施するODA(政府開発援助)の一環です。
ざっくりと言えば、一民間人が発展途上国に行き、
現地の人と同じ職場環境の中で友好親善を図りながら、
環境改善に取り組む現地人がもっとも目に見えて分かるボランティアです。

青年海外協力隊は各国、各赴任先の要請に応じて、春秋年2回の募集が行われ、
現在では約2000人の日本人が69か国に派遣されています。
そんな青年海外協力隊は日本国民が個々人が"ボランティア活動"のため、
個々人に対する実績の評価は行われておりません。
青年海外協力隊の各隊員による活動内容の報告は、

・活動中の中間報告
・帰国時の最終報告
・活動期間中に提出する第1号から第5号までの報告書

のみであり、各活動内容に対してもレビューや評価等は行われておりません。

 

JICAボランティア事業の方向性に係る懇談会より


ボランティア事業は、個々のボランティアの創意工夫に基づいて、
現地の人々とともに考え、多様なアプローチで課題解決に取り組む事業。
https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/report/pdf/kondankai_06.pdf

 

協力隊OBの実績事情 協力隊は実績を残しにくい

 

途上国の発展に役立ちたいと思って協力隊に参加したのだから、なんらかしらの形で実績を残したい。
青年海外協力隊として派遣される人はほとんどがそう考えています。

でも、協力隊で活動する2年間で
「自分の活動がこれだけ現地の発展に役立った」と形に残すのは難しいようです。

帰国後は現地から離れてしまうので、
帰国後に活動がどのように残っているかはなかなか目にすることができません。
それでも、数年後に現地に戻り、状況を確認されるOBの方もいます。

 

青年海外協力隊出身のブロガーとして有名な宮崎大輔さん。
2013年7月から2015年6月までの2年間、中米のパナマ共和国で農業技師としてボランティア活動されていました。
そんな宮崎さんが昨年末、一年半ぶりにパナマへ帰り、 帰国後の現地状況を視察した記事がまとまっています。

jiburi.com

 

 

JICAにおける青年海外協力隊事業の実績とは?

 

JICAにおける青年海外協力隊事業の実績は、
ぼくは協力隊員の派遣数だと考えています。

青年海外協力隊ホームページの実績ページを見ると一目瞭然。
派遣実績のみの掲載となっている点が大きな理由です。

www.jica.go.jp

 

 

また、先にも書いた通り、各協力隊員の活動に対するレビューや
活動実績に対する評価も行われていません。

 

ぼくの考える活動評価が求められていない理由は3つ。

1. 要請に対する背景の不充足

青年海外協力隊が派遣される各国には、一国あたり2~3名前後のボランティア調整員が派遣されています。
ボランティア調整員は、協力隊員の活動がスムーズにいくようお世話をしてくれたり、 新規要請を得るため、学校や省庁、現地コミュニティを動き回っています。

対して、青年海外協力隊の応募職種は100を超えます。
そのため、要請に対する背景の理解と吸い上げ、要望が十分に取れないのが現状だと思います。
パプアニューギニアを例に見ると、現在派遣されている隊員の職種は約20前後。
ボランティア調整員は3名が赴任中。

どれだけボランティア調整員が努力しても
専門知識のないボランティア調整員が要請の背景を理解し、
派遣先から具体的な活動要請の吸い上げ、事後評価の実施は不可能なのです。

 

2.協力隊の活動実績は一つにまとめられない

1でも記載したが、青年海外協力隊の応募職種は100を超えます。
ひとつの職種を見ても、要請内容が異なれば、活動環境も異なっています。
ぼくが応募したコンピュータ技術職においても、
省庁関係でIT環境の改善に関する要請もあれば、
ぼくのように一学校にて教師を務める要請もあります。

そのため、一つ一つの要請が独立したプロジェクトみたいなものであり、
各地の青年海外協力隊員の活動実績は一つの指標にまとめられないのです。

 

3.活動実績の評価の仕方が定まっていない

青年海外協力隊事業において、個々の要請に対する事後評価は行われていません。

どのように評価するのか?
どの時点で評価するのか?

派遣終了後の評価を行うとしても、
1.で記載した通り、評価を行う専門家がいなければ、
評価を行う費用もばかになりません。
評価を行うことで次要請へのフィードバックが行えればいいが、
そこまでのコストメリットは見当たらないのも事実です。

また、評価軸を定めないからこそ、隊員ごとに自由な活動ができるというメリットもあります。
評価軸を定めてしまえば、評価を満たすことだけが活動と考えてしまう可能性があります。。
協力隊員は寝てるときもご飯を食べるときも2年間のすべてが青年海外協力隊としての活動であり、
それを意識するために評価、実績には固執していないんだと思います。


なお、2016年3月29日に実施されたJICAボランティア事業の方向性に係る懇談会での提言にて
次のような一文が入っていることから、今後現地活動についても事後評価が行われる可能性もあるようです。

 

提言:これからのJICAボランティア


以上のような諸課題の検討を進め、本事業を継続的に改善していくためには、事業そのものをモニタリング・評価することが必要である。その観点から、ボランティア参加者に対する事前や事後の調査を、客観的に信頼できる方法で実施することが望ましい。
https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/report/pdf/suggestion.pdf
提言:これからのJICAボランティア

 

◇100のうち10残ればいい。

 

ここからは、ぼくの実績に対する所感を書こうと思います。

ネガティブなことばかり書いてきたが、
ぼくも協力隊での活動には実績は必要ないと考えています。


100のうち10残ればいい。

約1か月間の配属先の夏休み期間で行きついたぼくのこの2年間の活動方針のひとつです。

任地のココポセカンダリースクールに赴任して2か月、
これからの活動を考えたときに協力隊員として問われる実績はなにかと思い、
いろいろ調べるうちにこの結論にたどり着きました。


そもそも実績ってなんでしょう?

1. 生徒の学力が向上した。
2. 村人の収益が上がった。
3. 野菜の収穫量が上がった。

どれも素敵な実績です。
協力隊員がやって来て、新しい試みをするとき、
現地のニーズや生活、気質など、合う合わないということが必ず起こります。
それを埋めるために協力隊員が現地の人と話し合ったり、
モチベーションを上げるために飴ムチを使ったり。
でも、協力隊員がいなくなって、帰国後も活動が続くかというと、
宮崎さんの例のように続かないほうが多いのが事実。

後輩に結果を出させてあげたくて、後輩の話を聞いて、仕事の進め方を教えてあげても、
最終的に後輩は別の方法で成果を残したなんて話、会社に勤めていればいっぱいあることです。

それと同じ話だとぼくは思います。
現地の人々はぼくよりも何年も何十年もその地で生活して、
ぼくとは違う文化で暮らしていて、モノの考え方にも適不適があると思います。
考え方が違えば、はまるポイントも違うし、やり方だって違う。
もちろんぼくは、話も聞くし、ニーズも探るし、持ってるスキルも全部隠さず渡すつもりです。
でも、その中から現地の人が必要なものを取捨選択してくれればいい。

それが10も残れば万々歳だと思います。

 

それでも実績を追い求める理由

 

パプアニューギニアに来てから読んだ本の中で面白い言葉を見つけました。



「未熟さの効用」という言葉です。



教育力 著・斎藤孝


教育を仕事にしていると、面白いことがたくさんある。その中の一つに、「未熟さの効用」とでも言うべき現象がある。知識や教育技術がたとえ未熟であったとしても、不思議と初めて受け持った授業が生徒との間に一番深い縁を結ぶことがよくある。
(中略)
ただ単に未熟であることがいいわけではもちろんない。自分が未熟であることを自覚し、その分精一杯準備し、情熱を持って語りかけるときに、未熟さがプラスに転ずるのだ。



初心に戻れば、応募用紙に書いた通り、
ぼくが青年海外協力隊でやりたいことのひとつに「日本人の気質を伝える」というものがありました。

 

ict4d.hatenablog.com

 


時間を守るとか、求められた仕事はちゃんとこなすとか、
日本人にとって常識、現地人には非常識のことを当たり前にやっていく。
そういうことの積み重ねで、現地に伝えられるもの、残せるものもあるんじゃないかと受験当時は考えていました。

でも、ここ、ココポに来て、2年間の活動を終えられる先輩隊員たちを見て感じたことは、
それぞれの環境で現地のために試行錯誤して活動するからこそ、
現地の人に響くものがあり、現地に残る何かがあるということでした。

JICA的に言えば、「僕たちにできることは必ずある!」
みたいな感じかもしれないですね。

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結論としてまとめると、
個々の協力隊活動に対して実績はもとめれらていない
でも赴任地に”なにか”を残すために実績を求めて活動する。

それがぼくのこれからの活動指針としていこうと思います。