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【2019/02更新】青年海外協力隊 ~合格者の応募用紙の書き方~

早いもので青年海外協力隊合格から3年、任地に満了してから5ヵ月。
ここでは赴任中の青年海外協力隊員が自分の応募用紙をレビューしながら、記入の注意点をまとめます。

 

 

合格者の応募用紙はこれ!!

 

早いもので青年海外協力隊に応募、合格してから3年。
まったく更新していなかったこのブログも、青年海外協力隊を合格を機に本格的に始めました。

 

2019年から春募集の開始時期が2月と早まりました!すでに要請一覧が公開されているので確認してみてください。自分も3年前の応募を振り返ってひさしぶりに応募用紙を見返していると、仕事終わりに説明会に参加したり、出願期限の朝まで友達にレビューしてもらいながら書類の内容を考えたりとか、いろいろ四苦八苦しながら応募用紙を書いてたことを思い出してました。
このブログはいろいろ表に出ていない情報を公開したいっていうのがひとつのコンセプトなんですが、そのひとつで公開したぼくの応募用紙。

 

応募段階ではわからなかったことも、現地での活動を経験してみると各設問に「どういう意図があるのか」というのが僕なりに見えてくるようになったので、応募期間から現地での実務を経て、自分で自分の応募用紙をレビューしてみようっていうのが本記事の趣旨です。

 

 

応募用紙の書き方と文字数について

 

まずは応募用紙の物理的な書き方。

 

今って、ウェブ上での応募に変わったんですね!2年前の書類郵送での受験だったので驚きです。
ウェヴ応募サイト

募集期間外だったので確認できませんでしたが、もしかしたら応募用紙のフォーマットも変わってるかもしれません。ぼくのときは、応募用紙はExcelフォーマット、手書きまたはタイピングで提出だったので、今回はその前提で話を進めます。
※おいおい現在のフォーマットを確認して更新しようと思います。

 

 

タイピングの場合、フォントとフォントサイズは固定。
文字数制限は明記されていませんが、枠の関係上、各設問の上限の目安は以下の通りです。

 

1-1. 参加動機と抱負 : 約260文字

1-2. ボランティア活動の意義、目的 : 約260文字

2-1. 職種選択理由 : 約260文字

2-2. 経験(実務等)、技術適合性(セールスポイント) : 約880字

2-3. 弱点 : 約190文字

2-4. 自己PR : 約240文字

3-1. 帰国ボランティアの心に残るエピソード : 約190文字

4-1. どのようなボランティア活動を行うのか : 約240文字

5-1. 帰国後、参加経験をどのように生かしたいか : 約245文字

 

※半角、全角、記号によって前後するので、あくまで目安です。

 

 

あと気をつけたいのが、改行の方法。
応募用紙のファイル形式はエクセルです。
エクセルの改行はEnterではなく、Alt+Enterなので注意しましょう。

 

 

全体を通した注意点

 

改めて応募用紙の項目について考えてみたときに 注意すべき点はこんな感じです。

 

1. 回答は具体的か?

2. JICAボランティアを理解しているか?

3. 各設問に適切に答えているか?

 

 

1. 回答は具体的か?

JICAは、「どれだけ派遣後の活動について考えられているか」を見たいんじゃないかと思っています。2年間の途上国生活はストレスも溜まるし、体力的にハードな部分もあります。全く違う文化、人種すら違う環境で始まる生活と活動。海外での長期生活、ボランティアと一見、キラキラした世界のように見えますが、実状は泥臭い部分も多いです。また、JICAは任期中の辞退(任期短縮)を嫌います。そのため、漠然とした志で応募されている人は困難にぶち当たったときに任期短縮される可能性があるため、JICAとしては派遣させたくありません。応募者の方は明確な目的をもたれていると思います。応募用紙はその明確さをいかにして表すか?が大切です。

記入のポイントは、一例でもいいのでポイントを絞って具体的に書くこと。青年海外協力隊に応募される多くの方は、「困ってる方の力になりたい」と考えられているかと思います。同じ志を持たれている方の中でも、「困っていそうだから、なにかで役に立ちたい」よりも「この分野でこのようにして」「私のこのスキルを活かして」とより具体的に書かれている人のほうが「赴任後のことを想像できている」ということが伝わり、JICAも派遣したくなります。

 

 

2. JICAボランティアを理解しているか?

例えばJICAのビジョンは「信頼で世界をつなぐ」です。

JICAボランティアの目的は
1. 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
2. 友好親善・相互理解の深化
3. 国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元
です。

他にもJICAボランティアは「草の根」なんて言葉で比喩されることが多いです。

JICAボランティアの特色や評価されている点など分析して、書くのがいいと思います。

 

3. 各設問に適切に答えているか?

自己分析して、JICAについて調べ、いろいろ考えながら書いていると伝えたいことが分からなくなったり、内容がごちゃごちゃしてきたりします。そんなときは設問に振り返って、「答え」→「補足」の順で書くと伝わりやすいです。

 

 

各設問のレビューと注意点

 

1-(1)ボランティア活動に参加する動機、抱負について記述してください。

 

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公開しているのが恥ずかしいですが、伝えたいことをそのまま伝えようとした悪い例。パプアニューギニアに寄せて書こうとしているけど、動機、抱負とあんまり絡めれていないのも残念です。
ベタに言えば、ここはご自身の経験をもとにしたオリジナルのストーリーが書ければいいじゃないでしょうか。

 

ぱっと書いたのでちょっと字数もオーバーしていますが、もし仮に書き直せるなら、こんな感じにしたいです。

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高校2年次の留学時、学んでいる語学スキルを人のために活用したいと考えていたときに青年海外協力隊を知ったことが応募のきっかけです。その後、一定のスキルと実務経験を積んだ20代後半での参加を予定して、ネットワークエンジニアとして業務を続けてきました。パプアニューギニアを含めた多くの大洋州はIT後発国で、自身のスキルをもって現地のIT発展に貢献できる点、また貨幣経済が始まって半世紀と浅く、お金で買えない豊かさのある日常生活がどのようなものか体験したいと思い、第一志望としました。これまで培った知識と経験を活用し、現地のネットワークインフラ環境整備とITリテラシー向上に貢献します。
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1-(2)ご自身が考えるボランティア活動の意義、目的を記述してください。

 

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意義と目的。
よく似た意味でごっちゃまぜになってしまいそうですが、それぞれ分けて答えると書きやすいです。

無難に書くならここのポイントは、JICAボランティアというものを理解した上で記入すること。JICAの理念やJICAボランティアの目的などを踏まえて、ご自身の活動を価値観をまとめられるといいと思います。

ぼくの内容は意義と目的の定義づけはいいと思いますが、目的で書いた補足内容が抽象的になってしまっているので、もっとオリジナリティが出せればベターでした。

 

 

2-(1)この職種を選択した理由

 

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応募職種への熱い気持ちをまとめましょう。
案件によっては、第一希望から第三希望で同職種でも要請内容が異なる場合があります。その場合、第一希望のみに絞るのもありですし、第三希望までの共通点について書くというのも手だと思います。

あと、これはあくまで一つのアイデアですが、国際協力分野における関連職種のレポートや本なんかを読んでいると、応募職種に関わる支援の必要性を表現できるので、説得力が出ます。「リスクヘッジ」のくだりは、大学時代に読んで「なるほどなー」と思った部分を落とし込みました。

 

 

2-(2)この職種に対するご自身の経験(実務等)、技術適合性(セールスポイント)を具体的に挙げ記述してください。その際、ご自身の選んだ要請内容に対しての技術適合性についても触れてください。

 

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要請内容とすり合わせた自身の能力の売りを全面に押し出しましょう。
セールスポイントというと書きにくいですが、技術適合性ということなので、要請内容に対して自身のスキルをもってどう活動するかが書けるといいと思います。また、応募職種によっては100名単位の書類審査になります。試験官が理解しやすいようにレイアウトを整えましょう。

 

 

2-(3)この職種に携わる際に想定されるご自身の弱点を記述してください。

 

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ここは「職種に携わる」なので、スキル面での弱みを書くのがお勧めです。

他の方のブログを拝見してても、ここで悩まれている方は多いみたいです。
今だから正直に言いますが、ぼくも「弱点ってどのレベルで書けばいいの?」ってすごい悩んで、ここは逃げの姿勢で応募者全員に当てはまる弱点という内容で書きました。ただ2年経って振り返ってみると、ここの弱点って「職種に携わる」なんで、別に「ネガティブ思考」「我が強い」「情に流されやすい」みたいな人間性について無理して書く必要はないんですよね。性格面について弱点と対策を記述するのもいいかと思いますが、技能レベルや経験、語学について弱点と対策を記述するほうが解決への道筋も見えやすくてスマートだったなと今さらながらに感じています。

 

 

2-(4)自己PR(希望した職種に関係する経験以外で特筆すべき経験を記述してください。)

 

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ぼくの内容はなんか新卒就活生の自己PRっぽくなっちゃってますね。
初めは健康管理面とか語学力について書いていましたが、応募用紙を書く中で統一感を持たせるために、他者との関係性をもつ内容に変えました。

 

 

3. 帰国ボランティアの体験談や報告書等で心に残るエピソードや、ご自身が実際の活動に取り入れたいと思うアイデアなどを記述してください。

 

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これは青年海外協力隊、応募職種について「ちゃんと調べて勉強してます」ってことをアピールしつつ、ご自身での具体的な応用方法についてまとめましょう。青年海外協力隊の多くが抱える内容(現地での人間関係、語学力、挫折とか)について書いてもいいですし、一隊員の具体的なエピソードでもいいと思います。

ぼくは学校教育の職種だったので、露木さんの人間育成の影響力の大きさから「自分もそれだけ影響力のある活動がしたい」ということでまとめました。

 

 

4. 実際に派遣された場合、どのようなボランティア活動を行うのか、活動内容、日常生活を含めて具体的に記述してください。

 

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ここは設問の通り、具体的にというのがポイントです。
「どんな活動をしたいのか」「近隣住民の人とどんな交流をもちたいのか」
青年海外協力隊の活動ブログや説明会で帰国隊員に相談しながら、具体的なイメージを固めていきましょう。
あくまでひとつのアイデアですが、自身の弱点で書いたの内容であったり、他の項目の内容を絡めた記述ができると、イメージできているということにより説得力がでると思います。

 

 

5. 帰国後、参加経験をどのように生かしたいか記述してください。

 

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ここで記述すべきなのは帰国後の進路の一例経験の還元方法

青年海外協力隊の目的の3番目は『国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元』ということで直接的にでも間接的にでも還元方法について書きましょう。
ぼくの場合、SE職ということと日常生活の中だと直接的な還元方法が想像できなくて、結果、漠然とした内容になってしまいました。教職などの場合、「学校教育の中で...」とかに繋げたり、医療関係者であれば「外国人滞在者の多い地域で医療通訳する」みたいな形で綺麗になると思います。

もうひとつ書いておきたいのが、帰国後の進路。
JICAとしては帰国後の進路を一つの課題ととらえているので、帰国後の進路をちゃんと考えていますよというのが示せるといいと思います。
ちなみに、ぼくはここの設問もとても悩みました。2年間の活動期間中も帰国後の進路はずっと悩んでるのに、どの国でどんな活動するかも決まってない状況で、帰国後のことを書くのは難しいです。しかも途上国に2年間住むなんて普通の日本人ではありえない経験。ただ、JICAも参加者が活動期間中にいろいろな影響を受けて、途中で進路が変わることがあるということは確実に理解しています。 なので、ここでは再就職、キャリアチェンジ、大学院進学などたくさんある帰国後進路の中で考えられる一例が示せるといいと思います。

 

 

自分で自分の応募用紙を読んだ感想

 

最後に自分で自分の応募用紙をレビューするとしたら、
うまく書けてるなーという部分もあるし、見てて痛いなあー部分もあるといった感じです。

 

良い点は・受験国に寄せた内容、・各設問での現地へのすり合わせ、・内容の一貫性
悪い点は・一部の答えが抽象的、・文の流れと言葉遣い

 

もともとパプアニューギニア一本に絞っていたので、「調べてるぞ」ってことはアピールできているんじゃないかと思います。
あと、読み返してみたら、隙あらば「こうしていきたい」というアピールが入っているなといった印象でした。たぶん、「現地での活動のことを意識できている」っていうところを見せたかったんだと思います。
一番いいなと思ったのが、各項目で『現場目線』『現場への応用』『現地の人々とともに』みたいなスタンスを 一貫して出せているところ。自分でいうのもなんですが。青年海外協力隊は日本のODA事業の中でも末端、最前線、一番現場に近い活動をしている事業で、顔の見えるODA事業として草の根外交官なんて表現もされます。受験時に意識した記憶はないですが、結果的に青年海外協力隊の本質的なところとマッチできたんじゃないかなといった印象です。

 

逆に、1-2. ボランティアの目的や5. 帰国後の項目は、具体的に深めきれなかったので、ぱっとしない内容になりました。
2-3. 弱点 についても、そもそも設問にちゃんと答えられているかというと微妙なところです。
あと、字数制限があるので仕方ない部分はありますが、設問に真正面に答えすぎている箇所もあって文章の流れがおかしかったり、「存じています」とか一部、言葉遣いがキモイなーと思います。

 

 

 

 

と、ざっとレビューした結果、こんな感じになりました。
ちなみに他のブログでもよく「正解はない!」なんて書かれてますが、実際、ここでまとめた内容以外の応募用紙でも合格されている方もいますし、正解はないと思います。
この記事全体を見返してみると、「無難に書くならこんな感じ」っていう内容になったと思います。ちなみに受験で重要視される点は、1.健康→2.要請内容への適正→3.人間性といった順番なので、自分のキャラクターの出る応募用紙が書けるといいですね。

 

今年からは青年海外協力隊応募者向けに職務経歴書や応募用紙の添削サービス(無料)を始めようと思います。受験に関して質問や添削希望がありましたら、以下のお問い合わせまでご連絡下さい。
(※本サービスは合格を保証するものではない点、あらかじめご了承ください。)

 

 

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