【2019/07更新】元現地在住者が教えるパプアニューギニアの治安事情
「パプアニューギニア」で検索するとたくさんヒットする治安状況。パプアニューギニアの渡航をするとき、一番大きなネックは治安の問題ではないでしょうか。ここでは2年間現地在住した青年海外協力隊員OVがパプアニューギニアの治安情報についてまとめます。
パプアニューギニアの治安情報
インターネットで検索するとたくさんヒットするパプアニューギニアの治安情報。「人食い族の残る国」であったり、「世界で最も危険な国」のような記事が多くヒットします。パプアニューギニア在住者から見て「そのところ、どうなの?」と聞かれると、「半分は本当。でも、半分はネタとして誇張してるんじゃない?」といった感じ。ネタとして美味しくて好きなんですが、旅行、赴任を検討されている方の不安解消と、部族カラ―が濃く日本では絶対できない体験ができるパプアニューギニアに多くの方に来てほしいというのもあり、現地在住者の視点からリアルな治安情報をまとめます。
そもそも危険と言われるパプアニューギニアですが、首都ポートモレスビーが群を抜いて犯罪件数が高いです。詳しくは下でまとめていますが、それ以外の都市では犯罪件数はタイやフィリピンなどと変わらないよう。本当に危険な場所を避ければ、他国の海外旅行と変わらず楽しめる国です。
治安面での注意点
窃盗集団 ラスカル
『パプアニューギニアのアライグマ、ラスカル!?』。そんな記事が多くありますが、パプアニューギニアでは窃盗犯のことをラスカルと呼びます。ひったくりに遭えばラスカル、強盗に入られたらラスカル。モノを盗めば、だれでもラスカル。在住日本人の間では「ラスカられる:ラスカルによる被害を受ける」というのが固有名詞になっています。ラスカルはお金になるものを盗れればいいので、殺害までいくケースはほぼありませんが、切りつけられるケースもあります。
窃盗の傾向と対策
パプアニューギニアでは計画的な犯行は多くありません。窃盗の動機も・カバンが空いていた、・ケータイを見ながら歩いていた、・金品を持っていそうな身なりだった、など。つまり簡単に盗めそうといった単純な理由がほとんどです。逆に言うと、ながら歩きをしない、周囲を警戒するといった、窃盗への警戒心を醸し出すような行動をとれば、ラスカルも近寄ってきません。身体へ危害を加えることが目的ではないので、盗難の危険性を感じたら身の安全のために金品を渡してしまいましょう。少額のお金を入れたサイフ、日本で使っていないガラケーなどをダミーとして持っておくのも効果的です。
ホテルへの侵入被害
日本人が滞在するホテルはセキュリティ面を考えて、リゾートホテルまたは旅行者やビジネスマンが宿泊するようなホテルになります。場所によりけりですが、目安として1泊1万円(300kina)以上で警備員が常駐しているホテルになります。ゲストハウスの滞在はあまりお勧めできません。
日本でも盗まれるときは盗まれるので運としか言いようがありませんが、ちゃんとしたホテルに泊まれば、警備員もおり、ホテルスタッフもしっかりと教育されているので、ホテル内は比較的安全です。この2年間でホテル滞在中の日本人が盗難やトラブルに巻き込まれたというケースは聞いたことがありません。
夜間行動
原則、パプアニューギニア国内での夜間外出は避けるべきです。現地人も日入り直後からは安易に外出しようとしません。そもそも繁華街がないので夜間に行くとするとホテルのバーかクラブ程度です。もし夜間に外出する場合は徒歩は控え、タクシーで移動しましょう。ホテルのカウンターに言えば、配車してくれます。
人食い族はいるのか?
治安とあまり関係ないですが、ちょっと気になる人食い族の存在。
古くは部族闘争などの影響で食人は普通だったみたいで、相手部族の人肉を食べると聖なる力で強くなると信じられていたそうです。そんな食人文化は主に本島のハイランド地方がメインのようで、ゴロカという地域には食人に使われていた洞窟が残っていたりします。ハイランド出身の同僚からときどき文化的なことを教えてもらいますが、食人は1970年代でほとんどが終結。現在40代の教員の方ですが、その人が生まれたあとの食人は聞いたことがないと言っていました。インターネットで検索すると2010年代に入っても数件の事例があるようです。
地域別 治安情報
首都ポートモレスビー
パプアニューギニア唯一の国際空港、Jackson Moresby空港もポートモレスビーにあり、パプアニューギニアへ入国する際は必ず立ち寄ります。
パプアニューギニアが世界で最も危険な国と呼ばれる理由はポートモレスビーの治安状況があまりにも悪いため。パプアニューギニア国内の大半の犯罪がポートモレスビーで起こっています。
このグラフは2018年7月に行われた隊員総会の安全講習で使用されたもので、在パプアニューギニア日本大使館職員の方が作成されました。グラフを見る通り、ポートモレスビーだけ突出しているのが分かります。
JICA パプアニューギニアとしても、安全管理上、首都ポートモレスビーでは、・徒歩外出禁止、・夜間外出禁止、・JICA専用車両のみでの移動、・夜間移動時はセキュリティ会社の護衛車両が追尾、などとかなり厳しく制限されています。青年海外協力隊員も首都へ上京した際は不用意な外出はせず、基本的な移動はドミトリー⇔JICA事務所、スーパーの往復くらいです。
第二都市 Lae (レイ)
パプアニューギニア第二の都市 LAE。LAEと書いてレイと読みます。パプアニューギニアの工業地域で多くの製品がここで作られています。
本島の湾岸地域で、国内第二の都市ということからも、多くの部族が出入りしており、ラスカル等の犯罪被害も多いようです。ちなみにLae在住の教え子に話を聞いてみると、「Laeは危険だから来なくていいよ。見るところもないし、海も汚いし。」と言っていました。安全面から青年海外協力隊では渡航禁止されています。
ハイランド地方
ニューギニア本島高山地域にあたるハイランド地方。
現地人、JICAスタッフから聞いた内容がベースになりますが、ポートモレスビー、レイについで治安が悪いといった印象です。800はいると言われているパプアニューギニアの部族の大半がハイランド地方におり、2018年になっても部族間抗争の記事が新聞に上がります。また、政府主要ポストの多くはハイランド出身者で占められており、権力争いが盛んで血の気の多い印象です。
2018年7月にハイランドの一地域、Gorokaに1日滞在しましたが、人の密集度はかなり高い印象でした。現地人の友人と一緒に行動していたので特に被害に会うこともありませんでした。ちなみにGorokaはGorokaショーと呼ばれる様々な部族の伝統衣装、舞踊が見られる国内最大級のイベントです。現地の新聞を見ていても、日本人、中国人旅行者がGorokaを訪れている記事がたまに上がっていますが、たまに訪れていることをみると、Gorokaは気を抜かなければ大丈夫かなといった印象です。
アイランド地方 Kokopo Kimbe Kavieng
パプアニューギニア東部に位置し、島々からなるアイランド。
ラバウルで有名な東ニューブリテン州(州都:Kokopo ココポ)、西ニューブリテン(州都:Kimbe キンベ)、ニューアイルランド州(州都:Kavieng ケビエン)などがあります。どこも大洋州らしくサンゴの多い綺麗な海が特徴で、比較的治安も落ち着いています。
比較的治安が落ち着いているのはこのアイランド。青年海外協力隊の多くもこのアイランド地方に派遣されています。
西ソロモン州 Bougainville (ブーゲンビル)
パプアニューギニアの最東端に位置する西ソロモン州。
世界一肌の黒い民族がいることで有名な島々です。
ブーゲンビルは自治区として管理されており、パプアニューギニアからの独立を目指して2019年にブーゲンビル内での国民投票を控えています。
そのような背景もあって、特に南島は青年海外協力隊の渡航禁止地区となっています。北島は治安も安定しているようで時折隊員が旅行で訪れたりしています。
旅行者向け治安情報 たびレジ
海外へ渡航する際の安全情報は、外務省が提供するたびレジがオススメです。
たびレジは、外務省が提供する旅行先の安全情報提供サービスです。たびレジに登録しておくことで、現地の最新の治安状況を確認したり、犯罪被害時に日本大使館からの迅速な対応を受けることができます。
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