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青年海外協力隊OV 平成28年度2次隊 PNG コンピュータ技術職のなんたらかんたら

青年海外協力隊OBの転職活動 帰国後進路は国際協力事業か一般企業か?

青年海外協力隊の任期満了。帰国後の進路を選択するとき、あなたは国際協力か一般企業かどちらを選びますか?

 

任期中には見えなかったもの

青年海外協力隊は国際協力に対して熱い想いをもっている人たちの集まりです。人助けを行い、ピュアな気持ちを持つ人の集まりで、理想郷にも近い世界といえるかも。同期でも任期満了を待つことなく、海外大学院に進学していく人やNPOへ就職する人たちがたくさんいました。私も社会人経験を経て青年海外協力隊に進んだキャリアを考えたときに、このまま国際協力分野で進路を進めることがキャリア的にも綺麗で、自分もそのようにしたいと考えていました。ただ、残念ながらいろいろな障害に阻まれて、国際協力への進路は諦めることになりました。

 

こちらの記事で、帰国前に考えていた進路をまとめています。

ict4d.hatenablog.com

  

ぼくが国際協力事業に進まなかった理由

上に記事でまとめた通り、当初はパプアニューギニアに戻るか、大学院進学の進路を考えていました。逆に、それ以外に国際協力の進路は考えていませんでした。「他にも開発コンサルやNPOへの進路もあるのに、なぜ?」という疑問が出てきますが、答えはシンプル。

 

 

安い給料で働くことになるから。

 

もう一度言います。

 

安い給料で働くことになるから。

  

ゲスな理由ですね。

 

ただ、こう考える背景には、青年海外協力隊参加前にハンガーフリーや教育系の途上国NPO/NGO団体の説明会に参加していた経緯があるんですが、私にとっては若い人たちの自己犠牲をベースに成り立っている世界のように感じていました。話を聞く中で、低賃金なために家庭を持つタイミングで現実的にNPO活動を行うことが難しくなって辞めていく人も多いそうです。

 

NGO活動の実態と類型

 

財政:国内対象のNPOより大規模。主要275団体の年間予算総額286億1,320万円。全体の約60%が2,000万円未満で、大小に分離。 国際協力NGOセンター 大橋正明さん

https://www.canon-igs.org/event/report/report_100125/pdf/100125_004.pdf

 

インターネット上に恵泉女学園大学の大橋さんという方のレポートが上がっていますが、実際の数値で見るとNPO法人の約60%が2000万円未満の収入で運営を行っているということで、1人あたりに割り当てられる給与の低さも見えてきます。また、私の参加した説明会の中では団体予算が少ないために全国から未使用のはがきを集めたりといった事務業務もあり、国際協力分野で本当にやりたいことができないといった印象でした。 

 

こちらのブログでNGOの収入についてより詳しくまとまっています。

sarthakshiksha.hatenablog.com

 

 

ぼくもフォローしていますが、国際協力について情報発信をされている田才さんのように、NGO職員としてしっかりと収入を得られている方もいらっしゃるようで、ぼくは田才さんはあるべき姿だと思っています。

www.ryoyatasai.com

 

開発コンサルについても、進路の一つとして調べていましたが、多くは薄給多労。また、2017年末のJICA予算問題でも明るみになりましたが、開発コンサル系企業はJICAに依存した会社が多く、ひとたびJICAの予算編成でトラブルがあれば会社の経営が傾き、安定して働くということが難しい印象をもっていました。青年海外協力隊を終えてからも熱い気持ちをもって国際協力事業に従事していくということはとても素敵なことだと思いますし、続けられている人を心から尊敬しています。ただ、私の場合はそのような理由でNPO/開発コンサルでは働かない、もし働くとすれば団体の予算向上のために働きたいという考えをもっていました。

 

 

国際協力事業と企業活動の違い

ここから本題ですが、一般企業で面接を受けると「なぜ、そのまま国際協力に進まないの?」という質問を高確率で聞かれることになると思います。これは人それぞれの理由や想いがあると思いますが、私の場合、青年海外協力隊の経験から国際協力は国際的な社会保障という位置づけだという考えを答えていました。

 

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社会保障は、生活をする上で問題を抱える人の受け皿。国際協力は国家レベルで課題を抱える国の受け皿だと思っています。生活保護や年金など社会的弱者を救済するために社会保障は必須のシステムです。が、それだけでは国は回りません。実際に国の経済を回し、社会発展を行っているのは企業活動です。国際社会の中でも貿易/企業活動によって国際社会の発展が促進され、国連やJICAなどの国際協力事業によってその恩恵を受けられない国の発展/人々の生活を保障する。まとめると、日本と国際社会が進展していくとために国際協力事業と企業活動という両軸が必要だ、ということを話していました。

 

 

国際協力事業も一般企業もあくまで手段

青年海外協力隊の応募用紙でも書きましたが、僕にとって人生の目的は「国際社会への貢献」です。国際社会なんていうと大げさですが、自分のスキルをもって自分と関わりを持った人が幸せになってくれれば、それってすごい素敵なことだと思います。上でまとめた通りで、ぼくは国際協力分野での進路を諦めた訳ですが、国際協力分野も一般企業への就職も目的を達成するための手段であって、そういった視点から私の帰国後の進路は一般企業へ就職することを選択しました。今だから言えることですが、青年海外協力隊として活動していたときは「キャリア的にも影響力的にも国際協力事業に関わり続けたい」という想いが半分、「大学院進学とか国連職員とかキラキラしててカッコいい」という見栄が半分あったんだと思います。言い換えると周りに流されている部分があった。さらに言うと、国際協力事業へ進むことが目的化していたということを考えていた進路が閉ざされたタイミングで痛感しました。

 

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ここで「なぜ、そのまま国際協力に進まないの?」という質問に戻りますが、この質問には国際協力と企業活動の説明と合わせて、「なぜ、私が一般企業に就職するのか」ということを明確に説明する必要があります。ぼくにとってその答えは、「国際協力も企業活動も私にとっては手段であって、私の目的を達成するために御社で働きたい」ということであり、これがそのまま志望理由となっていました。「私の目的を達成するために御社を利用する」なんて言葉で書くと良い印象を持たれないような気もしますが、面接を受けた10社前後のすべての企業で面接を通過したので、この考え方で大丈夫なんだと思います。当たり前ですが「国際社会への貢献」が目的では抽象的過ぎるので、経験した内容からより具体的に深堀りをして、パプアニューギニアで目にした整備の行き届いていないインフラに影響する仕事がしたいということでグローバルに展開している自動車部品関係の会社に就職することとしました。

 

まとめ

最後のほうは少しお題から逸れた内容になりましたが、まとめると国際協力は国際的な社会保障という位置づけで国際発展に携わるなら両方大切なんだと思います。そして、それぞれの人生の目的達成のための手段として、国際協力事業へ進むか一般企業へ就職するかを選択する。それが帰国後の進路のひとつの軸になるのではないかと3ヵ月の就職活動を経て感じたことでした。