【第三号報告書】赴任から一年経過。活動報告書公開!!
長期間ブログを更新していなかったので、提出から3か月ほど経ちましたが
第2号報告書に引き続き、第3号報告書を公開します。
第3号報告書の項目は以下の通り。
項目1. 活動の進捗状況
項目2. 着任後1年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決案
項目3. 現地支援制度活用計画
項目4. 社会的格差に関する所見
項目5. その他
※項目5. その他は、①日本と受入国の違い、②受入国の生活習慣、など7項目の中から一つ選んで記入します。
第3号報告書の目的
第3号報告書では、活動の中間地点として、これまでの活動を振り返り、今後の活動の方向性を配属先とともに再確認する。
とある通り、12か月が経過した活動の進捗状況と、
残り1年となった期間ででどのような活動を行うのか、活動状況表を作成し、合わせて提出します。
ぼくの活動状況表は参考までに末尾に貼り付けれあります。
報告書要約
赴任から約1年、当初は手探りだった授業もようやく形ができ、落ち着いて実施できるようになってきた。私は実習ベース、カウンターパートは自習ベースでの授業を主に行っている。双方で授業運営の考え方の違いもあるので、大きく介入し合っていない。カウンターパートナーが1コマ目の授業にほとんど来ないため、私が代理で行っている現状はあるが、隊員総会などで私が授業に出れない場合はカウンターパートナーが代理で授業を受け持ってくれるというようにお互い補う関係も構築できている。なお、カウンターパートはAccessを使用して生徒情報を管理できるほどMicrosoft製品への知識を有しており、授業の質も高いため、私の活動は授業実施、授業コンテンツの拡充と学内ICT環境の改善、技術移管を主な目標として行うこととした。活動の進捗状況であるが、本年実施された国内議員選挙の影響から学校の年間予算の支払いが遅延しており、配属先から依頼のあった学内ICT環境の増築、改善は大きく遅延している。予定していた活動が遅延しているため、学校側としてその他に要望はあるかカウンターパートナーに確認したが、『現状に満足しており、特にない』と回答が返ってきた。前任のボランティアが学内のネットワーク、共有フォルダを構築したおかげで赴任時でも授業を行う上で申し分のないICT環境が整っており、私の代ではこの1年間でeラーニングプラットフォームの展開と授業コンテンツの拡充に努めた。カウンターパートのICTに対する知識、授業品質も一定のレベルに達しているため、ボランティアとして授業運営周辺の改善は一定の水準に達したと感じている。大枠が定まっていないので報告書に記載していないが、ここ数日、図書室司書と図書室運営のオンライン化を検討している。予算の目途もたたないため、図書室運営も含めて、今後は低予算で実現できる活動を行っていきたいと考えている。
項目1. 活動の進捗状況
前回提出の第2号活動報告書にて2年間の活動目標の大枠を"1.効果的な授業実施"、"2. 学内ICT環境の増築、改善"と定めた。
"1. 効果的な授業実施"は現在週22コマの授業を受け持っている。計画通りに授業毎に実習を行い、授業後半で小テストを行うことで理解度の確認を行っている。CPが学生証作成や学内全体や成績評価といった他業務で多忙のため、Term3から授業計画の作成も受け持っている。これまでも学内のICT環境の管理はCPが1人で行っており、授業準備に十分な時間がさけていないのが現状であるため、授業準備も私が担当し、eラーニングプラットフォームのMoodleを使用した成績管理の自動化等で工数削減を図っている。
"2. 学内ICT環境の増築、改善"であるが、第2号報告書提出後から大きな進展はない。政府からの学校予算の未払いが発生しており、製品ありきの活動目標であったため、進捗は大きく遅延している。進捗遅延に伴い、"2-4. 学内向けWebページ構築"を削除し、新たに"2-5. PC、スマートフォンの無償修理"、"2-6. 授業環境の整備"を別途設けて活動を行っている。
項目2. 着任後1年時点の活動結果と課題及び課題に対する解決案
"1. 効果的な授業実施"は、急な全校集会や学校行事などで授業計画がずれ、クラスごとに進捗度合いと授業の質に差が出ているため、2年目はムラのない授業計画になるよう心掛けたい。また、小テストは・どのように難易度を設定すべきか知識がない、・カウンターパートナーのクラスも含めカンニングが横行しており、今後どのように改善するか検討が必要である。
"2. 学内ICT環境の増築、改善"は受入先の要望であるため、次年度予算を目標として校長へプッシュを続ける。現在は代替案として"PC、スマートフォンの無償修理"と"授業環境の整備"を行っている。"PC、スマートフォンの無償修理”は、ITスキルは実使用で養われるため、『個々人のインターネットアクセス、IT環境の確保』を目的として、対象は学内外で絞っていない。生徒の依頼の場合は、知識移転のため、できる限り生徒と一緒に修理を行うよう心掛け、この1年で約50台のPC、スマートフォンを確認、うち36台を修理することができた。"授業環境の整備"はeラーニングプラットフォームMoodleの他、校長からノートパソコン35台を取得し、停電時に使えるよう整備している。
項目3. 現地支援制度活用計画
口頭の約束であるが、周辺地域の学校職員から学内のICT環境の整備依頼を受けている。陸路で行ける範囲は自費で移動するが、East New Britain州Pomio地区などは空路(もしくは海路)経由での移動となるため、移動費について現地業務費を申請する可能性がある。あくまで口頭での約束のため、実現する可能性は低い。 また帰任したOVの活動を引継ぎ、大学にてIT教員コースを受講する大学生向けにワークショップを実施したいと考えている。こちらも赴任地外での実施の際は、依頼元と相談の上で移動費等について現地業務費を申請する可能性がある。
項目4. 社会的格差に関する所見
赴任地ココポに関する男女間格差について記述する。 社会生活の中で性別による差別的格差は見られない。飲酒の場に女性は参加しない、食事は先に男性の分を配膳し、続いて女性の分を配膳というように男尊女卑の文化が根付いているが、女性に対し高圧的な態度を取るといった例は見たことがない。村落部では家事は女性、日曜大工は男性とすみ分けられ、都市部では男性も積極的に家事、育児に参加している。しかし、離婚率は高いようで、配属先でも夫のDVや収入を家庭に入れない等の理由で離婚した話も耳にする。女性の社会進出は、配属先が学校であるので、教員の男女比は男性:1女性:4となっている。一般企業を見ても、BtoC企業は男女同比率程度の採用のようである。なお、把握している限り、州の教育委員会の主要ポストは男性が占めており、本年の議員選挙女性当選者0名という結果からも、女性の政界進出や重職への登用が今後の課題である。LGBTは直接的な差別はないが、理解度は低く、LGBTの話題が上がると蔑みの対象となるケースがある。学校対抗のディベート大会の議題にLGBTが取り上げられていることから理解促進を行う動きも見られる。
項目5. 日本と受入国の違い
先進国の日本と"石器時代に近い国"と比喩されるパプアニューギニアを比較すると違いは多岐に渡るが、その中でも興味を持っている"時間"の概念の違いについて記述する。 パプアニューギニアは南国という気候からか、うちなータイムのように時間に大変ルーズである。詳しい理由は分からないが、作物が豊富で絶対飢餓が存在しない、一年を通して気候がほぼ一定であり季節的な刺激がない(四季の変化や日本のような衣替えがない)、おおらかな性格などが影響しているのではと考えている。地元のサッカーチームが最たるもので、「試合開始が10時なので8時に集合だよ」と言われ、10時に行ってみても前試合のチームも自チームも誰もいない。前試合の時間が遅れるので当然試合時間は遅れるが、連絡を取り合っている様子もない中、試合開始前にはだいたい揃っているという不思議な感覚を持っている。対して、現在時刻には几帳面なようで、現在の時間を聞かれて「3時半ごろだよ」と時計を見せながら答えると「3時32分じゃないか」と返してくる。だいたいの現地人が同じ反応を示すため、行動する時間に対してはルーズだが、面白い几帳面さを持ち合わせていると感じている。
活動状況表
活動開始から1年が経過した活動状況表です。